僕とあたしの夏の事件慕? プロローグ 明日から夏休み!-2
「それはお気の毒……ねぇ」
泣きつかれた香苗も困り顔で頬を掻く。
「そうだ、香苗は何か予定とかある? 無いよね、それならどっか……」
こうなったら仲間を募って暇つぶしの方法を考えねば……って、香苗はさらに困り顔になってない?
「ゴメン、私は……その……」
「香苗ー、何やってんだ、早く帰ろうぜ」
香苗の元にずかずかと見知らぬ男子がやってくる。
誰だろう? あたしは知らないぞ。
「紹介するわね、友達の高橋裕也君」
裕也君とやらがお辞儀をするので、あたしもつられて頭を下げる。
どう見ても友達以上に見えてしまうけど、それって香苗の気遣い? つか、優しさ通りこしてうざいってばよ。
「香苗、いつの間に彼氏なんて……」
「それはその……ね?」
顔をホンノリ染めて裕也と見詰め合う香苗は、やっぱり否定しない。
ちくしょう、コイツにも先を越された……フン、うらやましいもん!
「でも、澪だっているじゃない? 彼氏君が」
そういえばあたしの周りにも男が一人いる。いや、正確には男の子といった方がしっくり来る。
「アレはただの幼馴染で……」
「いいじゃない、彼は可愛いんだしさ」
可愛いって、それは彼氏の条件としてどうなのよ?
「なあ、もう行こうぜ……」
腕時計を見ながら苛立ちを隠さない裕也の様子に引き止めることもできず、あたしは香苗の手を離す。