エッグスタンド〜a person's〜-4
「それって、“あの人達”が迎えに来たら?」
「その時は“アイツら”を脅す。オマエにやった事は犯罪だ」
「そんな事したら、私が受けた虐待が知れ渡るよ?薫はいいの」
「それでも、オマエがオレより早く死ぬことは無くなる。オマエは自由になれる。
オレは自分が死んだら、オマエに葬ってもらって惜しんで泣いてもらいたい」
沙那は、それ以上何も言わず俯いた。
「オマエは“あの人達”と同じ墓に入らない。オレと同じ墓に入るんだ」
「…それも、悪くないね…」
その時見せた顔をオレは生涯忘れない。昂ぶった感情を抑えきれない人間らしい泣き顔だった。
高見沙那。コイツは今まで、生きてるだけにも必死にならざるを得ない状況を面あたりにして、オレは憤りと不憫さを感じた。
コイツが、昔のように明るい性格に戻るまでどの位掛かるか分からない。数ヶ月、数年、ひょっとしたら一生戻らないかもしれない。
…「エッグスタンド」〜a person's〜完…