DEAR PSYCHOPATH−2−-2
「本当に嬉しそうだな。お前」
「うん!」
コクコクと頷く。子供みたいだ。
けれど僕が、
「さぁ…」
…行こうぜ、と口を開きかけた。その時だった。突如、背中の中心が熱い何かに刺されたような感覚を覚え、驚いた僕は息と一緒にその言葉まで一緒に飲み込んだ。
何だ、と後ろを素早く振り向く。が、何もない。人の波だけだ。僕は目だけで辺りを見回した。やっぱり怪しいものはない。
「どうしたの?」
心配そうに、鈴菜がのぞき込んでくる。僕はヨロヨロと首を振った。
「何でもない。気のせいだ」
「本当?さっきの忍の顔、すごく怖かったよ」
僕は吹き出した。
「まったく。今日はあれだな、おかしな顔って言われるは、怖い顔って言われるは…まったく。言われ放題だな」
「わ、私そんなつもりじゃ!」
「嘘だよ。ちょっとからかってみただけだって」
どうにか笑顔を作ってみたが、それがどんな顔になっていたかはよく分からなかった。というのも、背中で感じた痛みが、僕の中で何かを目覚めさせたような気がして、どうにも胸騒ぎが治まらなかったのだ。僕はもう一度後ろを振り向き、注意深くそこら辺を見直した。けれど、やっぱり何もない。気のせいではないはずだ。さっき、僕の後ろには確実に何かがいた。