廉くんの不純な一日-1
部活が終わって着替えていると先輩の話し声が耳に入った。
「この前とうとうカノジョとヤッちゃってさー」
やっぱり年頃の俺達としてはそーゆー話に興味ある訳で…。
先輩の一言でみんな色めき立っちゃって目の色が変わってる。
先輩の話が気になり全神経を耳に集中させて聞き耳を立てた。
自慢げに俺にとって未知の世界を話す先輩が妙に大人びて見え、人間こうも変わるものなのかと驚きを隠せない。
「香奈!」
校門でいつも通り俺を待っていた香奈は呼びかけに笑顔を見せた。
あの笑顔が俺のものだと思うと頬がだらしなく弛む。
「もうすぐテストだね」
憂鬱そうに香奈が呟く。
もちろん俺も楽しいはずがない。
「廉は成績いいじゃない。私は理数系が全然だもん」
あーあと大きくため息をつく香奈。
「じゃあさ、テスト勉強一緒にするか?数学なら教えてやれるし」
俺の提案に香奈の顔がパッと明るくなった。
「ほんとっ!?」
頷く俺を嬉しそうに見上げる。
「土曜に俺んち来る?」
「行く、行く!」
香奈の足取りがスキップかと思うぐらい跳ねてる。
こういうとこがほんと可愛い。
別れ際に香奈を引き寄せてキスをする。
先輩の話が頭の片隅に残っていて、いつもより長く口付けてしまった。
そんな俺を香奈が不思議そうに見たが気付かないふりをして香奈を放す。
「また明日な」
「うん」
笑って手を振る香奈に手を上げて応えた。