廉くんの不純な一日-7
ぐにっ!
香奈の指は俺の頬を思い切りつねっていた。
「ひて―!」
痛さで涙ぐむ俺に構わずギリギリと頬をつねる香奈。
「ほへんっ!ほへんっへ!」
「えっちな廉にはお仕置きだ!」
俺の得意セリフを口にしてようやく頬から指を離す。
赤くなってヒリヒリしている頬を擦っていた俺の額にベン!と何かを張りつけた。
ポロっと落ちてきた物を見ると香奈に取り上げられたゴムだった…。
「香奈ぁ」
「…………………」
「香奈ってば」
「……………………」
呼びかけても返事しない。
怒ってんのかなぁ…?
「香…」
「あのねっ」
俺の呼びかけをかき消すように香奈が口を開いた。
俺が視線で先を促すと香奈は目を伏せて言った。
「私も廉の事大好きだよ。でも…まだ心の準備が出来てないっていうか…ちょっと怖いっていうか…。だからもう少し私に時間をくれないかな」
香奈の言葉に胸を突かれ俺は大きくうなだれた。
先輩の話にあてられて香奈の気持ちを無視してた。
きっとお互いの気持ちが重なった時に自然とそうなるんで、俺だけの思いだけでどうなるものでもないんだ。
俺が俯いてるのを気落ちしてると思ったのか香奈は慌てて言う。
「そのっ…廉とキスしたり抱き締められたりは全然嫌じゃなくて…えっと…嬉しかったりするし私もしたいなぁって思うし…って私何言ってんの…」
顔を赤らめてる香奈の手を握った。
「廉?」
「ごめんな。香奈の気持ちに気付かずに自分の事ばっかでさ…」
香奈は微笑んで首を振った。
「痛かった?」
そう言ってさっきつねられて赤くなってる俺の頬にそっと触れる。