廉くんの不純な一日-6
「なっ、何よ?」
まさか反撃してくるなんて思ってなかったのか香奈が少し狼狽える。
「俺は香奈が大好きだ。大事にしたいって思ってる反面、やっぱ好きな女にはもっと触れたいとも思ってる。それって変な事か?」
今度は香奈が言葉に詰まった。
「香奈は俺に触られんの嫌?」
香奈はぎこちなく首を横に振る。
「じゃあ触っていい?」
微かに頷く。
思わぬ形勢逆転に気をよくした俺は香奈の手を取り指を絡めて手を繋いだ。
「もっと近くに行ってもいい?」
「うん…」
おっ?
だんだん機嫌が直ってきてる?
いやいや、ここで焦ってまた香奈を怒らせたら今度こそ当分口をきいてもらえなくなる。
慎重に香奈の様子を見ながら肩を抱き寄せる。
俺の胸にちょこんと頭をつけておとなしく抱かれてる香奈の頬は赤く染まっていた。
…可愛い……。
ここで押し倒したら元の木阿弥。
グッと我慢だ!
「…あのね…」
香奈が小さい声で言う。
「ん?」
香奈は何か言いたげにモジモジしていて、いつものキッパリハッキリがない。
「どした?」
顔を上げるなり俺の首に両手を回して香奈の唇が俺の唇に重なった。
え…?
香奈にキスされてる!?
腕が弛んで俺から離れようとする香奈を抱きすくめて唇を奪う。
「ん…ぅん…」
香奈が思わず洩らした吐息にせっかく繋いだ理性がぶっ飛んだ。
だめだ―!
止まんね―!
「ふ…ぅっ…」
苦しげな香奈の声に我に返った俺はかなりの努力を要して腕を弛めた。
半開きの唇が艶っぽく光って俺を誘ってるように見えた。
「香奈…」
「私も…廉に触れたい…」
そっ!それはいいって事か!?
そう取っていいのか!?
香奈の指が俺の頬に近付く…。