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エッグスタンド〜One party〜
【幼馴染 恋愛小説】

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エッグスタンド〜One party〜-1

 授業を終える音が響き渡ると、オレはまっ先に教室を飛び出した。

「オイッ!沙那は?沙那は何処に行った?」

 期末試験を終え、オレは別のクラスに居るアイツのクラスメイトに存在を訊ねた。
 しかし、一応に彼女達の反応は“知らない”だった。

 中には、

「知るかよ!そんなに心配なら、首に縄でも着けとけ!」

 気が付くと、オレは言った女を横殴りにして教室を出ていた。後ろから、かなりの悲鳴が聞こえていたが、そんなの知ったことじゃない。

 オレにとって、1番必要なのは沙那なのだから。




『エッグスタンド』




「やっぱりここかよ…」

 冷たい風がぼうぼうと鳴いている悲しげな景観。廃ビルの屋上にアイツは居た。フェンスさえ無い縁に座り込み、蒼白い顔で真下を覗いている。

「オイッ!沙那」

 オレの声に反応して彼女は顔をこちらに向けた。一瞬、ニッと笑ったが再び視線を元に戻す。

「相変わらず、迎えに行ったら居なくなってるな」

 沙那は、オレの言うことを聞くつもりが無いらしい。まったくの無視だ。

「ちったあオレの話を聞けよ」

 これまで、何度同じ言葉をコイツに繰り返したことか。苛立ちと、諦めが入り混じるオレの問いかけにコイツは珍しく口を開いた。

「ここってさ、タマゴみたいだね…」

 屋上の縁とタマゴが似ている。予想外の言葉に、オレの思考は混乱する。

「何だ?そりゃ」
「バランス次第でさ。アッチに落ちちゃいそうで…」

 一瞬、コイツに浴びせる怒号が思い浮かんだがグッと堪えた。

「ねえ、薫?」

 沙那がオレを呼ぶ。オレは言われるままに、アイツのそばに座り込んだ。

「何だよ?」

 沙那はオレを見てにっこりと笑って下を指差す。

「…真下にさ、沢山の人が歩いてるけど、ここから人が落ちたら巻き添えで死ぬかな?」
「まあ、死ぬかどうかは分からないが、タダじゃすまないだろうな」
「痛みとか感じるのかな?」
「それは知らないが、死ぬつもりめないのに殺されるのは気分の良いモノじゃないだろうな」
「…そっか……」

 見つめる表情はあくまで柔らかいのだが、言ってることは尋常じゃない。


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