春に囀ずる-7
「じゃあ、やめる」
ピタリと止められた愛撫がさみしい。
さみしくて、もう一度欲しい。
「ハル……は、鶯」
名前で呼んだ瞬間鶯(はるつぐ)の体が跳ねて、肉食獣の目がギラギラ見てくる。
「紗英、一つになったときくらい、ホントのこと言ってよ」
やだ…って、言われたら、俺が嫌みたいで、キツイ。
ねぇ…ホントは俺が嫌なの?
ささやかれる声は弱々しくて、そんな声きいたら優しくして甘やかして大事にしたくなる。
「鶯、鶯…好きぃ。嫌じゃない。恥ずかしくて…それで…だから鶯。好き、だよ?」
「うん、…うん。俺も紗英さん好き。離れちゃやだよ?俺すっげー怖かった。今度はちゃんと話して。ね?」
額を合わせて笑いあった。
めちゃくちゃに乱されたあとの体に、ゆっくり緩く天国に近づいてく感覚は、予想とは全然ちがって、ただ幸せでたまらなかった。
ずっと、ずっと欲しかった。
欲しくてたまらなかった私の好きな人。
好きすぎて向き合えなかった分、今からが始まりなんだ。
眠っていく意識も体も、愛しさに満ちていて――きっとこれから。