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二個目の苺〜アーモンドクッキー〜
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二個目の苺〜アーモンドクッキー〜-8

***



僕は…何をしてるんだ…

普段は飲まないが、今日はつい酒に手が伸びる

つまらない…何も

…なんで、あんな風にしてみたくなったのだろう…

何杯喉に流し込んでも、酔いは襲って来ない
むしろ、頭はますます冴えてくる様だ

ブランデーをグラスに注いだ時の香りも、いつもより薄く、味の付いた水でも飲んでいるようだった

大きく息をついたとき…電話が鳴った

…珍しいな

取る気がないので無視していたが、あまりにもしつこく鳴り続けるので、舌打ちをして受話器を持ち上げた

「誰だ…?」

『愁?私よ、久しぶりね』

…声を聞いただけで気分が悪くなる

「…アンタもしつこいな、切るぞ」

『待って!話があるのよ』

「どんな話か容易に想像出来るよ…大体、よく平気でここに掛けて来られるな、その太い神経だけは褒められるよ」

『お願い、怒らないで…手紙、読んでくれた?』

すぐに、紫に彩られた気味の悪い香水の香りを、思い出す
…ラベンダーの封筒

「妙な匂いの付いた物を送って来るな…反吐が出る」

『やっぱり、読んでくれたのね』

「読むわけないだろ、破って捨てたよ」

『愁は、相変わらず冷たいわね…』

お前が言うんじゃねぇよ…
笑わせてくれるな

「どうせ金の話だろ」

吐き捨てる様に言うと、電話の向こう側で嬉しそうに笑う

『言う前に分かってくれて良かった。やっぱりこういう話しって言いづらいじゃない?』

「…ふざけるな」

『え?何?ねぇ愁、今からちょっと出て来られない?そっちの家にいるなら近いでしょ…?』

妙な猫撫で声に苛々する

「自分の息子にまで色目を使ってどうするんだ?節操ないな」

『…息子だって、思ってくれてるの?』

探るような声に、顔がかっと熱くなる

「…思ってねぇよ…アンタの血なんか、今すぐ全部抜いてやるよ!」

電話を、叩き付けるように切る


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