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二個目の苺〜アーモンドクッキー〜
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二個目の苺〜アーモンドクッキー〜-11

「行き、ます…!」

愁さんの答えを聞くのが恐くて、そのまま電話を切った


…唯達は、まだご飯を食べて、テレビに笑っている

今、出かけるなんて言ったら話が長くなる…それじゃ遅くなってしまう

…一刻も早く、愁さんの所に行かなくちゃ


私は、
『少し出かけます。大丈夫なので心配しないで下さい。奈々』

とだけ書いたメモを靴箱の横に貼り付けて、そっと家を出た


次第に早足になり、気付くと走っていた


怖い…

冷たいあの声を聞くだけで、射抜く様な鋭い眼が思い浮かぶ

怖い、けど

それ以上に私は…あの人が気になる

そんな自分に…驚いた

今、大変なのに、こんな時に気付くなんて…


私は…愁さんが、好き…


どうしようもないくらい、そばにいたい

…たとえ彼が、私を好きになってくれなくても…




「っはぁー…」

走って乱れた息を整えて、呼び鈴を鳴らした

「……?」

応答がなく、不安になる

どうしよう…勝手に入るわけにもいかないし

少し考えた後、悪いとは思ったが、ドアの前まで歩いて行った

ノックをしようと手を持ち上げた時、扉が開いた


「………」

「愁、さん…」

「…本当に来るとはな」

顔色が悪く、瞳の奥が揺れている

愁さんが手を掛けた扉の向こうからは、濃厚な香りが漂ってきた

匂いだけで酔ってしまいそうなくらい…

「ワイン、ですか?」

「ブランデーだよ」

話題を逸らしていても仕方がないけれど、言葉が続かない


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