二個目の苺〜アーモンドクッキー〜-10
…昼間の愁さんの態度が、頭の片隅でずっと引っ掛かっている…
少し考えた末に、家の電話の番号を押した
愁さん…
長い呼び出し音のあと、受話器を取る音がした
『…しつこいぞ』
「え…」
電話越しに聞こえる声は、低く鋭い
「あ、あの…愁さん、ですか…?」
『…あぁ、君か…僕に何の用だ?』
昼間とは打って変わって、優しい響きは微塵も無い
「今日…愁さんが少しいつもと違っていて…なんだか心配になって」
恐る恐る言うと、愁さんはさもおかしそうに笑った
『おかしいなぁ、あんなにサービスしてあげたのに、まだ不満なのか?』
「サービスって…」
ショックを受けるよりも、様子のおかしい愁さんが気になった
「愁さん…酔ってるんですか?」
『うるさい女だな…全然酔えないんだよ…
心配?…笑わせんじゃねえよ、そんな偽善なんていらないな』
「偽善なんて…私は」
『ま、偽物同士で調度良いか…お前も嘘が好きなんだから』
愁さん…どうしたの…?
もう一度時計を見る
…この時間ならまだ大丈夫
「愁さん…私、今からお宅に伺っても良いですか」
『何を言ってるのかな?こんな僕の声を聞いただけで、怯えているくせに』
「私、は…」
確かに…愁さんは、
今の愁さんは、すごく怖い
でも、私…
…愁さんが、気になる…
「行きます…っ」
『来るな、絶対』
「…でも!」
私の様子に、愁さんが低く笑った
『いいよ?来ても
…どうなっても、構わないならね』
その言葉に、体が強張る
『ここに来たら…
…僕は君を、壊すよ?』
小刻みに震える私の体
でも、私は…