ロボット「アイ」-4
「哲郎、どんな事でもさせてあげる。
どんな姿でもいいから・・・
だけどお願い。
アイと、アイと呼んで!」
言い終えると愛は、そのまま床に泣き崩れた。
哲郎は間違いに気付いた。
お前はアイと呼んだ日から、どんな姿でもアイなのだ。
哲郎は愛を抱き締めた。
「愛、ごめん。 愛してる。 愛が一番だよ。 本当だ。」
哲郎は気付かないうちに、ロボットとして軽く考えていたことを後悔した。
もう愛をロボットだなんて思わない。
「愛、我慢しないで。これからは何でも話して。君の言葉が聞きたいんだ。」
それがロボットに生まれた意思なのか、プログラムなのか、そんなことはどうでもよかった。僕は愛を守り幸せにしたい。ただそれだけのこと。
哲郎はそう思うと、ずっと胸につかえていたものが消えて行くのを感じた。
子供のころに見た、広い草原を思い出した。
あれは、どこだったのだろう。
そうだ、あの場所へ、愛を連れて行きたい。
きっと喜ぶと思うんだ。
終