友達以上、恋人未満。-1
入学式。
一目見て、
恋に堕ちた。
報われない。
こんな、気持ち。
−−−−でも
好きだった。
『……んっ。凌[しのぐ]ソコ…良ィい……っ』
情事の真っ最中。
薄暗い部屋に、2つの影が重なり、淫らにうごめく。
一通りの事を終え、凌と呼ばれた男は、脱ぎ捨てていたシャツを羽織り、ボタンを留めた。
『なぁ、志保』
ベッドの中で裸のままシーツに包まる女に声を掛けた。
『なぁに?』
快楽の余韻に浸る志保は、甘ったるい言葉で返事をする。
『俺さ、好きな女出来た。だからお前とはもうヤらないから』
『えッ?!ちょ…っどういう事……っ?!』
−−突き付けられた現実
突然告げられた終わりの言葉に、志保は勢いよくベッドから飛び起きた。
『お前は他の女たちと違ってグダグダ言わねぇし、唯一気ぃ許せたわ。』
じゃあな〜。と短い言葉を残し、都合の良い女に別れを告げた。
残された志保は、広いベッドの上で一人きり。
<後腐れの無い関係>
二人の間にあった、暗黙のルール。
志保は、泣く事さえも叶わない。
虚しい身体だけの関係。
何にも遺らない……。
独り遺されたベットで、ひんやりとしたシーツを力いっぱい握りしめた。