友達以上、恋人未満。-5
『ぷっ……。凌、カッコ悪ぅ』
振り回される凌の姿に、志保が堪えきれず吹き出した。
『あれ、志保。里沙と2人でどうしたの?』
『え…と。あー…』
『友達になったのっ』
言葉に詰まる志保をよそに、里沙が笑って答えた。
『え?そんなんだ!!!以外な組み合わせだな。でも志保はすげぇ良いヤツだから、里沙とも絶対仲良くなれるって』
『……ありがとう。』
志保が2人に優しく笑った。
『なんだよ。照れるじゃねーか、なぁ里沙』
“良いヤツ”
それだけでもう充分。
『じゃ、あたし帰るわ』
『おぅ』
下足室を出る直前、志保が振り返った。
『ねぇ凌、幸せ?』
志保が2人を真っ直ぐ見る。
『あったり前じゃんっ!!!』
里沙の手を握り、自信満々に答えた。
『あたしが認めた女の子なんだから、世界一幸せにしてあげてよっ!!』
『任せとけって!!』
凌が里沙と顔を見合わせて幸せそうに笑った。
『バイバイっ!!!』
『おーっ。じゃあな』
最後まで想いを伝える事は出来なかったけど
『……大好きだったよ。本当に。』
2人に背を向けて歩きだした志保が、独り言のように呟いた。
堪えていた涙が溢れ出る。頬をつたい、すっかり暗くなった夜風に舞う。
好きで
好きで
大好きだったけど。
凌が幸せなら良いや。
志保は止まらない涙を拭い、空を見上げた。
『バイバイ、凌。』