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マラソン
【サイコ その他小説】

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マラソン-6




『よくやった!!こけてまでよくやったよ!!!!』
“ガチャリ”と音がして喜びの声が聞こえた。
『ありがとう!!恵ちゃん!』
その言葉を聞いて、恵斗の顔にも笑顔が戻った。しかし、次の瞬間また青ざめることになる。
『忘れてた、、、、私の首に、、、、、、“爆弾付きの”首輪をはめられたんだった!!』
恵斗は驚いて腕を見た。すると、また20:00に戻っていた。
『今度は何をすれば良いんだよ!!』
怒り狂い、叫んだ。すると、真理は静かにこう言った。
『もう、いいよ。これ以上恵ちゃんに迷惑かけられないから。』
予想外だった。もう、諦めているのか。しかし、俺もこの足じゃこれ以上どうにもできない。何もすることなんてできなかった。
『真理、好きだよ。』
『!?』
真理は驚いていたみたいだったが、真理も同じ言葉を吐いた。
『好き“だった”よ。』
“だった”の一言が、もう死んでしまうんだとリアルに感じさせた。
『愛してる。』
と、恵斗が一言付け足した瞬間、“ガチャリ”と音がした。
『とれた!!とれたよ!!!』
飛び起きて喜びたかったがそんな状況でもなかった。
いろいろ謎が残ったが、急いで靴を脱ぎ、痛みに耐えながら監督に言った。
『すいません、病院まで運んでくれますか。』
監督は驚いていた。まさか、恵斗が画鋲付きのシューズで走っていたなんて思ってなかったことだろう。
『分かった、少し待っていろ。』
監督は携帯を取り出し、電話をかけた。
その瞬間、安心しきった恵斗はその場にどさっと倒れた。

目を開けるとそこら中が真っ白だった。
特に慌ただしい様子もなく、静寂の中に物音だけがする状態だ。
横に目をやると真理が俺に寄りかかって寝ている。
かわいい奴だな、と純粋に思った。その瞬間、真理が起きた。
『あ、起きてたんだ。大丈夫足の具合は。』
『うん、落ち着いてるよ。』
恵斗は真理と喋っていることで痛みを紛らわす事ができた。
『明日には退院できるって。』
『そっか。』
良かった、早く家に帰ってぐっすり眠りたい。そんな思いだけが募った。





次の日、普通に学校に登校した恵斗は、圭司に呼び出された。
教室にはいると、真理もいた。
どうしたんだろうと思っていたら、圭司が始めた。
『昨日はお疲れさま。』
『ああ。』
『昨日さ、ビデオカメラあったろ。あれ俺なんだよね。』
この瞬間、何かがブチッと切れた。
『てんめぇー!!!なにがしてぇんだ!!!!』
胸ぐらを掴み、襲いかかる。
『は!?おい、どうしたんだよそんなにキレて!少しいたずらしただけだろ!!』
『何が少しだ馬鹿野郎!!』
ついには殴ってしまった。
『ったく、どうしたんだよ。ビデオカメラの裏にうっそだよ〜ん、て書いてあったろ。』
『そんなもん書いてなかったよ。』
『え?じゃあ、あれ見た後どうしたわけ?』
『どうするもこうするも……。』
そこで思い出した。そう言えば、あの時言われた一言。その一言を発した声は、決して圭司なんかではなかった。
『あのあと、腕時計はめさせられて、そこにタイムと真理の姿があって、それで、それで……。』
パニックに陥った恵斗を圭司が必死に押さえつけた。
『とりあえず落ち着けよ!おそらく、その後は俺じゃない別の犯人がいるんだ。』
だとしたら、全員が怪しい。そう言えば、あそこにいた他の選手は誰も俺の声をかけはしなかった。俺が足から血を流しているのに、誰一人として声をかけなかったのはおかしい。それに、監視員もそうだ。何も言ってこなかった。だから棄権にもならなかった。
考えれば考えるほど謎は深まり、犯人は分からなくなっていった。
『一体、誰なんだ、俺をはめたのは……。』
いつまでも、犯人は断定できなかった。


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