さよなら 3-3
私がソファに腰を下ろすと、
ギシと音を立てて沈み、
りゅうたの体が私の方へ傾く。
求めていた体温。
腕が触れ合っているだけで心地良い。
不思議と気まずさはなく、
当たり前のように体を寄せ合い、りゅうたのお別れ会を楽しんだ。
『そろそろ帰ろうか。』
『りゅうた!向こう行っても適当に頑張れよ!』
もう終わってしまうのか……
りゅうたと一緒にいられる時間が終わろうとしている。
しかし、
りゅうたが私にかけた言葉は、
『りか、一緒に帰ろう!』
マジ?
私は体の底の方からこみ上げてくる感情を
必死で隠して、
低い声で
『おう。』
と答えた。
帰り道。
冷たい夜風。
私達は寄り添うように歩いた。
自然と手をつなぐ。
横断歩道の赤信号。
右から視線を感じる。
つないでいた手が
きつく握られている。
私の右手はりゅうたとつながっている。