おまえのすべてを奪いたい-3
「ヤバかったな」
苦笑する涼平に美月は
「ヤバいってこの事だったの?」
と首を傾げて聞く。
それはヤバい違いなんだけどなと内心おかしく思った涼平だったが、自分の欲望を制御出来ず美月を危ない目に合わせた事を申し訳なく思った。
美月は涼平にはだけられた自分の恰好に気付くと慌ててブラウスを掻き寄せた。
「涼平のえっち」
拗ねたような声で言われるとようやく収まった欲望がまた頭をもたげそうになる。
「あーあ、派手に落ちちまったな」
美月から視線を逸らして散乱した資料を拾い始めた。
服装を整えた美月も手伝う。
「美月」
「なぁに?」
涼平の横でせっせと拾い集める美月の髪を撫でる。
「ごめんな」
不思議そうに涼平を見上げた美月は微笑んだ。
「何が?」
改まって聞かれると答えにくい。
「えー…。美月とキスしたら…我慢出来なくなって…」
ふふっと小さく笑う美月。
「私…涼平にならいいって…思ってるから…」
あまりにも可愛くて思わず抱き締める。
「涼平!?」
「美月が卒業するまで待つ。だからその時には美月の全部を俺にくれる?」
美月はクスッと笑って涼平の背中に腕を回した。
「うん。私を全部奪ってね」
俺…我慢出来るかな…。
早くも自分の発言を後悔する涼平だった。