電波天使と毒舌巫女の不可思議事件簿 ―争い編―-7
ポカッ!
「ぁいてっ……あれ? え?」
見比べる美由貴。
「……抜け出たぁ!?」
「どこをどう見たら壁の落書きがアタシに見えるの!!」
そりゃ起きて壁に話しかけてる奴を見たら呆気にとられるし目を合わそうとしたって壁向かれてたら合わせようがないし何より壁の落書きは明らかに人がモデルじゃない。真琴には角はないし目玉は五つもないし口から火を吐かないしゴジラみたいにタワーを踏みつぶしたりしないのだが、もうそういう問題ではないだろう。
「さ、さっさと終わらせよ」
気の重さを軽い口調で誤魔化し、上に上がっていく。
美由貴はあくまでふわふわといつものように、付いてきた。
そして当たり前のように、天使は真琴の後ろを護っている。階段から落ちたって、怪我一つなく抱き止めたのだから。
だからテストが終わったら、美由貴の好きなショッピングにでも誘ってみようと漠然と思いながら。
最上階に、辿り着いた。