やっぱすっきゃねん!V@-13
「やっぱり!」
投げてすぐ、マウンドから駆け降りようとする直也。だが、ボールは狙った位置より左に喰い込んだ。
「アッ!!」
ボールはバッターの顔面へ。避けようとするが、バントの構えをしたため反応が遅れた。
ボールはバッターの側頭部に当たり大きくはねた。
直也の表情が固まった。バッターは倒れたまま動かなかった。
いくら軟式ボールでヘルメットを被っているとはいえ、地肌と直接触れている側頭部や後頭部の部分に当たると、脳震盪を起こす場合もある。
「タイム!」
主審は一旦、試合を止めると臨時代走を告げ、バッターをベンチに下げるよう促した。
東海中のベンチから数人の選手が出てきて、倒れたバッターをベンチに下げていく。
達也は、その間を利用してマウンドに駆け寄った。
「…ホラ、ボールだ」
達也は直也のグラブにボールを収めた。
「あんまり気にすんな。それより、盗塁に注意しろよ」
「…ああ…」
達也は踵を返すとマウンドを降りて行った。だが、直也はまだショックが抜け切れずにいた。
…「やっぱすっきゃねん!V」@完…