二個目の苺〜ビターチョコ〜-10
「ごめんね、心配かけて…聞いてくれる?」
私は慌てて頷く
「…電話が、ジュン君からかかってきたんだ」
私は驚いて目を開く
「何て、言ってたの…?」
紺君はゆるく首を振る
「しばらく黙ってたけど、向こうから電話を切った…
…まぁ、そうでなかったら僕が切ってたと思うけど」
「………」
「意外と、許せてなかった自分に気付いて驚いた…
伯母さん達とジュン君と、向こうで会った全てを。
自分では消化したつもりだったんだけどな」
紺君が軽く笑った
少し遠くに行ってしまう、紺君の笑顔
「…こ、紺君は悪くないからね!」
「え?」
「紺君はいつも一生懸命だっただけで、何もどこも悪くないんだからね」
自分でもおかしなことを言っていると思ったけど、つい紺君を真っすぐ見つめた
紺君はにっこり笑って軽くキスをした
「ありがとう…」
私をぎゅっと抱きしめる
紺君の心臓の音が聞こえて私の心拍数も上がっていく
「ジュン君に、今度こっちから連絡してみようかな」
「無理しないでね…?」
「杏子さんがいてくれるから大丈夫だよ」
私の頭を撫でる
紺君が必要としてくれることで、私は生きていけると思った
もしかして紺君もそうなのかな?
私は…
…守られるばかりじゃ嫌だ
目に見えない哀しみを抱えるこのひとを、
折れそうになってしまった綺麗な心を、
いつまでも守り続けたいと、強く思った