命令××、拒否権なし!-4
あたしは首を横に振った。
『ダメ、無理だよ南野。自分でいうのもなんだけど、あたし感度よすぎるもん。これ付けてたら、絶対イキたくなっちゃって、授業どころじゃないよ』
『平気、その時は何とかするから』
何とかすると言われても、どう何とかしてくれるのか分からないし、やはり躊躇ってしまう。
授業中、皆の前で声を出してしまったら、ましてや軽くでもイッてしまったら――。
『南野ぉ……』
『大丈夫だって。そしたら、三限後休みと四限だけでいいからさ。四限終わったら体育倉庫で、な?』
『……ん』
肩を抱き、耳元でそう言う南野に小さく頷く。
そして改めて小さなロータに視線を移した。
『それで、これテープで下着に止めるわけ?』
ふとしたあたしの疑問に、南野は笑顔で首を横に振る。
『?』
『中、入れて♪』
――かくて、膣内にロータを入れて授業、なんてプレイをするはめになってしまったあたし。
落ちるから無理! なんて声は、南野の「スパッツ穿いてるから大丈夫だろ」の言葉で一蹴されてしまった。
(まったく、何で知ってるんだか)
でも実際、下着が見えないように普段穿いているスパッツは、ロータの位置を思った以上に固定してくれて。
『ん……ッ、あッ』
早くも自分の秘所から溢れたそれが、じんわりとショーツとスパッツを濡らすのを感じる。
動かなくてもその快感に濡れるのに、ロータを装着すべく入ったトイレから教室まで戻らなければいけないのが辛かった。
トイレから教室までの道のりがひどく遠く感じ、あたしは思わず出てしまう喘ぎには気付かれないよう口元を押さえて歩いていた。
あたしを責めるゆるゆると弱い振動は思いのほか気持ちよく、それでいて誰かにバレるかもしれないという焦燥の混じった不安が興奮を煽る。
そうして始まった、四限。北村の授業。
あたしのおかしな様子に、北村は気付くんじゃないかという不安。
でも何故かそれで更に濡れちゃったりして――そうして、今に至るというわけで。
「――……はあッ、はあッ……」
「すげ……気持ちよすぎ」
気持ちよすぎなんてものじゃない。身体中に走る、痺れるような快感。
お互いがお互いの体重を預け、絶頂の余韻を味わう。
あたしは軽く身じろぎしてから、便器の蓋に置かれた濡れたロータを見やり、ぼそりと呟いた。
「……たまにはこんなのも、いいかも」
「え?」
聞き返す南野には、笑って首を横に振った。
ゆっくりと南野から身体を離し、あたしは彼の前に屈み込んだ。
そして濡れた南野のものを咥え、思わずといったふうに腰を引いた南野に腕を回した。
「ちょ、東」
「しよ……"夏樹"」
あたしはゆっくりと、きれいにするように南野のそれを舐めていく。
「ちょっと、待て」
しかし、南野はあたしの頭を掴んで制止させる。
ちゅぷ、と音を立てて口を離し、不満げに口を尖らせるあたし。
すると南野は、あたしと同じように屈み込み、あたしの身体を強く抱き締めた。
「あー、ヤバい。俺、マジでお前壊しそう」
「お互い壊れるまでしよっか」
そう言ってあたしは笑う。
「……どこ行く?」
南野も、きっとこの状態で今更授業なんて出られないだろう。
あたしが訊くと、彼はあたしを抱き締めたままで囁くように小さく答えた。