今夜、七星で Tsubaki's Time <COUNT1>-8
「へへっ…チ×コいれてない女に殴られたのなんて、初めてなんだけど…。椿さんって、他の女と違うわけだ? でもさ〜、樹里さんとは気まずくなりたくないですよね?」
「は?」
怒るかと思ったら笑ってる。また、そんな態度にムカついた。
だけどユースケ君はこう言ったから、あたしの態度は一変する。
「…俺が樹里さんに、椿さんとやらしーことしたなんて言ったら、椿さんすっごく気にするんじゃないですか?」
その言葉を聞いて…あたしは目を見開く。
多分、樹里は他の女の人とユースケ君がヤッてたって…たとえそれがあたしだって気にしたりしないのかもしれない。
だけど…あたしの方は…
「やだ! お願い、言わないで…」
「やっぱり、気にするんだ…」
不敵な笑みを浮かべ、腕を組みながらユースケ君はあたしを見ている。
まるであたし、追いつめられた獲物じゃない…
あたし、何も悪いことしてないのに…!
涙目になるけど、…半ば睨むようにしてユースケ君を見ていると、ふぅっとため息をわざとらしくついたユースケ君。
そして、こう言った。
「一発ヤラせてくれたら、言わない」
「えっ…?」
「ヤラせてくれたら言わない、って言ったんですけど?」
ニヤニヤと笑いながら、ユースケ君の目はあたしの全身を舐めるように見て。
それはまるで、品定め。
「それとも、何? セックスは好きな人としかしちゃいけない…なんて思ってます? 椿さんだって、ほんとに好きな人としてるって確信ある?」
ずきんっ…とその言葉がナイフになって、胸に突き刺さる。
『ほんとに好きな人としてる』…そんな確信、あたしには…ない。
「考え…させて下さい」
ユースケ君の顔が見れない。
あたしがそんなことを言ったのは、樹里に対して申し訳ないって思ったからというよりも。
ほんとに好きな人としているか、と問いつめられて気持ちががぐらついてしまったから…
「オッケー。じゃあ次の金曜までに決意を固めて下さいよ。連絡先は樹里さんに聞いてくれますか?」
そう言って、何もなかったようにユースケ君はその場から去っていった。