マッドな彼女with俺3-8
「ほら」
香澄にさっき買った栗色のブレスレットをあげる。
結局、あの後俺は香澄用と自分用のブレスレットを買うことを許された。勿論お揃いのやつだ。
「…ありがと」
目を見てお礼の言えないところが香澄らしい。
くそぅ、可愛いぜ。
「えーと、どうする?
これからどこ行く…って言っても時間が中途半端な時間だなぁ」
「だったら」
「ん?」
「だったら、夕陽ケ丘公園に行かない?」
「えっ、今からか?」
「そう」
「俺は別に構わんが…ここからだと結構距離あるし、交通手段も歩きしかないぞ」
「分かってる」
「そっか…んじゃ行くか」
「うん」
「はぁ…はぁ…やっと着いた…はぁ…」
駅から夕陽ケ丘公園までは想像以上に遠かった。
しかもちょっとした丘の上にあるから、プチ登山みたいだった。
あぁ…疲れた…
公園には人っ子一人いなかった。
ま、もう夕方だし、言うほど大きな公園ではない。当然だろう。
「駿八、ちょっとこっち来て!」
向こうの方から香澄が叫ぶ。
あいつ元気だな。いつの間にあんなとこに…
「早く早く!」
「あぁ、分かった分かった。そう急かすなって」
香澄に呼ばれた所に来て俺は言葉を呑んだ。
「うわ…」
そこには夕陽に映える町が広がっていた。
真っ赤に染まった町はとても綺麗でなんとも幻想的だった。俺は自分が住んでる町がこんなにも綺麗なことを全く知らなかった。
しばらく俺達は何も言わずにただその景色を眺めていた。
「ねぇ」
不意に呼ばれた俺は香澄を見て…
ちゅっ。
「へ?」
なんとも間抜けな声を出した。
「え?え??」
何が何だかよく分からない。
確か香澄に呼ばれて振り向いたら、香澄の顔がすごく近くにあって、それで、く、唇に柔らかい感触が…