マッドな彼女with俺3-7
「すごく良いわ」
うっとりと香澄が呟く。
…どこが?
「そんなに気に入ってんなら買ってあげてもいいぞ」
「本当!?」
「あぁ」
ま、今日は何も買ってあげてないし、パッと見、たぶんそんなに高くないだろう……!?
俺の顔がそれについてる値札を見て激変する。
一体いくつゼロがついてんだよ!?
何でそれがそんなに高いの?
小学生のほうがもっとまともなモン作れるんじゃねぇのか!?
「だってコレ、サファイアでできてるから」
俺の考えを汲み取ったのか、すぐに香澄が答えた。
サファイア!?
そんな宝石をこんなんに使ってふざけ過ぎだろ!絶対無駄だ…サファイアが泣いてるぞ!!
「まぁ、なんだ…その……とりあえずその置物を元あったとこに戻しなさい」
「…買ってくれるって言ったのに」
「値段を見ろ、値段を。
分かりやすく不等号で表すならば『俺の親父の年収<ソレ』だぞ。んなモン買えるかッ!」
「貧相な父親ね」
なぜだろう…俺の家族の悪口を言われたのだが、全然ムカつかん。
むしろお礼を言いたい。
ありがとう、香澄。俺の親父がダメ人間だってことが再認識できたぜ。
「代わりにこれにしとけ」
「何コレ?革製のブレスレット?」
「そうだ。しかも俺のも買うから色違いでおそろグベバッ!!!」
み、みぞおち…。
「気持ち悪いこと言わないで。誰が駿八なんかとお揃いのものを…」
「本当は欲しいくせに」
「…今度はどこがいいかしら。
腕2本もいらないわよね?駿八には1本で十分だわ」
「すみませんでした」
即座に土下座をする俺。
ふっ…いい加減もう慣れたさ…。
「ま、いいわ。駿八がそこまで言うなら貰ってあげてもいいわよ」
本人は気付いてないだろうけど、そんな嬉しそうな顔して言われてもなぁ…そうゆうとこ不器用なんだよな。