魔銃使い
〜事件当日 壱〜-1
昨日、アルバード国王と婚姻されたクレア王妃が、初めてお披露目をされるとあって、世界の中心にあるレイン城には多くの民衆が集まっていた。
・サラン
太陽がオレンジ色に染まりだした頃、玄関のドアを開けたのは娘のミシェルだった。
「おかえり、ミシェル」
「ただいま」
そう言いながらリビングにある椅子に座ると、ミシェルは頬を膨らませた――幼なじみのマキちゃんとは絶交してきました。と表情で語っていた……
「どうして、マキちゃんとケンカをしたの?」
ミシェルに尋ねると、その言葉を待ってたかのように、ミシェルの口がスムーズに動き始めた。
「聞いてよママ。マキが寝坊したせいでクレア王妃が見られなかったんだよ! マキが謝ってきても絶対に許さないんだから!」
ミシェルの頬は爆発しそうなぐらい、今も膨らみ続けている。
「親友になるにはまだ先の話しみたいね」
「誰が、マキと親友なんかになるもんですか!!」
頬を膨らませたまま、ミシェルは椅子から立ち上がり、自分の部屋へと歩き始めた。
・ミシェル
……トントン
窓ガラスを叩く音に誘われて、ゆっくりとカーテンを開けた。
窓のそばに立っていたのはマキだった――ランタンの明かりせいでマキが不気味に見えてしまう。
窓を開けたあとマキに尋ねた。
「こんな時間にどうしたの?」
「今日、寝坊した事を謝りたくて。本当にごめんなさい」
マキが頭をさげた時に、マキとケンカをしていた事に気付いた……今、思えば何故あんなに怒っていたのかが判らない。
「謝らなくていいよ。どうせ明日になれば、今日の事を忘れてマキの家のチャイムを押してるよ」
「許してくれてありがとう」
頭をあげたマキの表情は、とびっきりの笑顔になっていた。
「こんな時間に謝りに来てくれてありがとう」
私も、とびっきりの笑顔をマキにかえした。
このあと、マキが言った言葉に私は驚いた……