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光の風
【ファンタジー 恋愛小説】

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光の風 〈回想篇〉中編-12

「陛下。」

後方から呼ぶ声がした。カルサは振り返り、声の主を確認する。

「失礼します、陛下。少し確認していただきたい事が。」

兵士は頭を下げたままカルサに申し出た。分かった、そう答えるとカルサはエプレットを千羅に任せ、その場から動いた。

兵士の後をついていくと、部屋の奥の一角に向かっている事に気付いた。そこには女官が集まっている。

カルサはそこに誰がいるのか分かっていた。

「例の女性が陛下と話がしたいと申しておりまして。」

辿り着く前に兵士が告げた。カルサは、そうか、と答えそれ以上口に出さなかった。きっと光玉の力なのだろう。今まで瀕死の状態であった彼女も目覚めた。

カルサの姿を確認すると女官達は道を開け、カルサはスムーズに彼女の傍に辿り着いた。

一番最初に見たのは放心状態なのか、まっすぐに天井を見上げた姿だった。

「陛下がいらっしゃいましたよ。」

女官が彼女の耳元で優しく囁く。その声に反応し、彼女はゆっくりと顔を動かした。次第に待ちわびた人物が視界に入ってくる。

「陛下。」

レプリカにカルサは頷くことで応えた。

「すまない、席を外してくれ。」

周りにいた女官や兵士達はカルサに一礼をして、各々別の場所へと去っていった。二人は気配でそれを感じ取り、少しの沈黙の後に最初に口を開いたのはカルサだった。

「調子はどうだ?」

「問題はありません。」

体力がないのだろう、声に力もなく目を瞑っている事の方が多かった。それでも顔はカルサの方を向いたまま。

「私に聞きたい事があるんですね。」

最初に切り出したのはレプリカだった。

「リュナが捕まった。今回でよく分かったのは、オレはあいつについて何も知らないという事だ。」

レプリカは再びゆっくりと瞬きをした。それは相づちに相当する。

「リュナの事を教えてほしい。」

不思議とレプリカに笑みが浮かんだ。しかし次第に表情は曇り始める。

「それは私の名です。」

レプリカはまっすぐにカルサの目を見て答えた。何も言わず、何も言えないカルサに目で訴える。

「ウィルサは新しい人、あの方の名は新しく生まれ変わったリュナと言う意味が込められています。」

カルサの脳裏に色んな事が浮かぶ。

「本当の名は?」

やっと絞りだした声、自分が思うよりもハッキリとした口調だった。カルサの質問に答えるのを躊躇っているのか、レプリカは一度目線を落とした。


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