投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

電波天使と毒舌巫女の不可思議事件簿
【ファンタジー その他小説】

電波天使と毒舌巫女の不可思議事件簿の最初へ 電波天使と毒舌巫女の不可思議事件簿 3 電波天使と毒舌巫女の不可思議事件簿 5 電波天使と毒舌巫女の不可思議事件簿の最後へ

電波天使と毒舌巫女の不可思議事件簿 ―文化祭編―-4

 まだ第一回目のためか、観客は真琴と美由貴の二人だけだった。
 映画そのものは、まあ高校生が作ったのでクォリティはそれ程高くはない。しかし、映画の撮り方を知らない真琴からすると、スゴく本格的なものに感じた。
 内容は、謎の鏡があってその鏡に秘められた謎を解くというもの。鏡には人を吸い込む力があり、鏡の中の世界と現実の世界が舞台となっている。
 しばらく見ていると、真琴の自宅である神社が出てきた。
 ……と思ってたら、なんと美由貴も出てきた。何故!?
「あれぇ?」
「ちょっと、なんであんたが出てんの!?」
「いやあ、スゴいね、ドッペルゲンガーだね」
 いやどう見ても美由貴だ。巫女装束を着て、鏡のお祓いをしている。だから何故!?
「美由貴ねー、物心落ちた時から記憶出来ないんだよねー海馬が回らなくて」
「もういい」
 多分、おそらく、神社の関係者ってことで人手不足の演劇部から頼まれたんだろう。見たところ、少なくとも本番では余計な言動はしてないようだ。……目を見開く癖は直した方がいいと改めて思うけど。
 ストーリーは多少ご都合主義はあったものの、大きな破綻もなく、なかなか悪くなかった。
 物語はクライマックスに入り、鏡に邪念を込めた悪霊と対決になり、悪霊が主人公に襲い掛かった瞬間!

 ――真琴の意識は、ここで途切れた。


―――――――――――


『…………』

 そこは、刹那の永遠。

『――――』


 静と動、生と死。矛盾するはずの要素が、矛盾なく存在する世界。

『・・・・』

 真琴が戻れたのは、


「――土管がどっかーん!!」
「うわっ!!?」

 有り得ない奇跡が、既に起きていたからに過ぎない。


―――――――――――


「あははやったぁ! ドッキリビックリ大成功!!」
「な、に、いきなり何!?」
 前後の状況が掴めず、真琴は飛び起きた。……飛び起きた?
「ここどこ?」
 暗い。目がまだ暗順応出来ていない。
 文化祭で、映画を見ていて、いきなり暗い場所で大声で起こされた。真琴の現状認識はそうなっている。
「……映写室? 停電したの?」
「ふっふ?」
「……ああ説明はいい、目が慣れてきたから」
 自分で確かめた方がいいだろうと、扉を開け、廊下に出る。
「……………っ!!?」
 しかし、真琴の現状認識は、更に混乱する。
「なん、みんな!?」
 人も、電飾も、雲も、煙も、音も。
 全てが固まって、動かない。まるで、
「ふっふ、どうもねー、時間が一時停止しちゃったみたいですねーふっふー」
 天使が珍しく分かりやすく、認めたくない現実を、ふわふわと楽しげに告げる。
 文化祭は真琴達を取り残して、停止した。


電波天使と毒舌巫女の不可思議事件簿の最初へ 電波天使と毒舌巫女の不可思議事件簿 3 電波天使と毒舌巫女の不可思議事件簿 5 電波天使と毒舌巫女の不可思議事件簿の最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前