スキ-4
あの日、いつも見学に来てる女達が一人もいなかった。
しかも香奈も来てない。
香奈は毎日来てるわけじゃないからそんなに不思議ではないけど、女達がいないのが妙に気になった。
自分の思い過ごしならいいと、部活を抜け出し探した。
あの時、香奈を助けられて本当によかったって思う。
俺のせいで香奈に何かあったら俺は自分を絶対許せない。
あの気の強い香奈が嫌いな俺の腕の中で号泣してるのを見て、一番自分勝手なのはあの女達じゃなく俺なんだって情けなくなった。
もう香奈を解放すると、その日の帰りに告げようと思ったけど香奈の顔を見たら言えなくて反対に香奈の優しさに甘えた。
香奈からカノジョ役を辞めさせてほしいと言われた時、香奈が俺を嫌ってんのはわかってたし断られるのも覚悟のうえでコクるって決断するにはかなり勇気が必要だった。
そして体育館での告白…。
まさか香奈も俺の事を好きだなんて想像もしてなかった。
いつから俺の想いは叶っていたんだろう…。
「れーん?」
膨れっ面で俺を突く香奈。
「なっ、何?」
「もぉっ!私の話聞いてなかったでしょ!」
不機嫌な香奈の頭に手を置いて謝る。
それでもプイッと横を向いて怒りを表す香奈に
「怒った香奈チャンもかわいー!」
そう言って顔を覗き込んだ。
香奈は普段意地悪な俺がたまに言う甘い言葉に弱いらしくすぐ真っ赤になる。
「すぐ廉はそうやってごまかす!」
「ごまかすってのはこうやるの」
俺は香奈を引き寄せ唇を奪った。