あなたとあたしは幼馴染-1
「あー、おまえ間違ってる」
「うそっ...どこ?」
「ここだよ、気づけバカ」
「バカは余計!バカはそっちでしょ!!あたしのほうが点数いいし〜」
こんな会話をしているあたし、優と洸輝。家が隣同士で、幼い頃から一緒に育ってきた。あたしはいつのまにか洸輝に恋してたんだ。初恋。この気持ちに気づいてから1年。ずっと、ずっと想っていた。
でも、告白はできない。「幼馴染」っていう関係を壊したくないから。ふられたら?もう話もしてもらえないかもしれない。そんな思いが頭の中をよぎる。言おうとすればするほど、不安は募るばかり。あたしって臆病。何回もそう思った。
「ゆ......ゆう...優!」
「は...はいぃっ!?」
「何ぼーっとしてんだよ、今日俺の家来る約束、してただろ」
ぼーっとしてるんじゃなくて、洸輝のこと考えてたんだよっ、なんて口が裂けてもいえない。
「あ、そうだっけ?じゃあ帰ろう」
校舎を出て、二人で並んで歩いた。歩きながらあたしはずっと考えてた。
今日、告白しようかなぁ?でもやっぱり、明日から話してもらえなくなったら?いつも思っている考えが頭の中に浮かんでくる。
「じゃあさ、優、着替えてきて。俺、待ってるから」
そんなこと思っているあいだに、もう家の前。
「うん、すぐ行くね」
あたしは決心した。今日、告白する事を。
2人おそろいのノート。お母さんたちが仲よくって同じのを買ってきたんだっけ。そんな些細な事が嬉しい。
「で、ここにこの公式をあてはめて考える」
久しぶりに入った洸輝の部屋。洸輝の机、昔は2人で座ってもすごく広かったのに、今二人で座ってみると、狭くて、かなり密着した状態になる。
「洸輝、すごいじゃん。頭良くなったね」
「もうおまえなんか抜かしたな」
いい気になって洸輝が言う。高校受験で、あたしは10位、洸輝は15位だった。自分で言うのも悪いんだけど、2人とも小学生の頃から頭がよくて、レベルもあってたからよく一緒に勉強してた。なんでもっと早く気づかなかったんだろ?
「じゃあ、次はこの問題ね。どっちが早く解き終わるか。いくよ、スタート」
結構むずかしい問題。二人のあいだに、静かな時間が流れる。そうすると、洸輝の息が聞こえてきて、勉強どころじゃない。競争どころじゃない。そういうことを思うたびに、好きになっていく。
「終わった!」
それでも、そんな事を考えながらも、やっぱりあたしのほうが早くとき終わる。
「また負けかよ〜」
悔しがっている洸輝を見ながらあたしは言った。
「洸輝、ちゃんと聞いて」
「はいはい、何?」
おちゃらけた顔をしている洸輝。あたしは真剣だった。
「あたし、洸輝のことが好き。1年前から。ずっと好きだよ」
そう言って、洸輝の顔を見た。洸輝は驚いている。
あたしが、少し前かがみになったときだった。いきなり洸輝は怒鳴りだした。
「おい、おまえ、出てけよ!」
「な.....なんで!?」
「いいから!!明日学校で話すよ」
洸輝にふられたんだ。あたしは、そう思った。
泣きながら帰った。失恋ってこんなに痛いものなんだ...
...。