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マッドな彼女with俺
【コメディ 恋愛小説】

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マッドな彼女with俺2-4

『さぁ、やってまいりました!三途の川、男子バタフライ100m決勝!!
日本期待の星、真田駿八選手は第4レーンです!

いやぁ〜、いよいよですね。解説の閻魔大王さん』

『そうですね〜落ち着いていけば、十分にメダルは狙えますね〜』

『さぁ、今スタートしました!!』

『いいですね〜ナイススタートですね〜』

『順調に順調に進んで…今3番手で50mを通過しました!』

『勝負はここからですよ〜』

『真田、徐々に徐々に…スピードを上げる!上げる!!これは速いぞ!いいぞ真田!そこだ!!抜け!!!』

『ラストスパートですね〜』

『真田!速い!!トップを…抜いた!!真田トップ!現在トップです!!』

『これは世界記録ペースですね〜』

『行けるか!真田!!あと少し!!あと少しだぁ!!あと少しで向こう岸に…』

「はっ!?」

ガバッと起き上がる。
ここは…屋上だ。
何だかもう少しで大変なことになってたような…。

太陽もやや傾いて時計を見ると6時間目の最中といったところか。

「ん?」

隣りを見ると静谷が小さく丸まり、こっちを向いて眠っていた。

「すー…すー…」

どっぷり爆睡しているようだ。

寝てる顔は天使みたいにメチャクチャ可愛いんだけどなぁ…
起きると悪魔に戻るんだろうなぁ…

と、その時。俺の頭にある考えが浮かんだ。

俺の中の天使:『…いやいや、それは卑怯ではないのか真田駿八。
彼女は寝ているんだぞ。
そこまでしてお前はいいのか。取り返しのつかないことになるぞ』

俺の中の悪魔:『…よく考えろ真田駿八。
起きたらもうそこで終わりだ。お前も恋人みたいなことしたいだろ。
それにこんなチャンス滅多にないぞ』

…投票の結果、圧倒的多数で悪魔側勝利。

すまん。
俺の中の天使よ。
しばし俺は悪に手を染めるとする。

ゆっくり静谷の方に顔を近付ける。

静谷の顔がこんな近くに…
白い肌に整えられた眉に長いまつげにすらっとした鼻に可憐な唇に……うぅ、なんて可愛いんだコンチキショウ。
やばい、すげぇドキドキする。

静谷は未だ寝ている。起きる様子はない。

行け!俺ッ!!
あと少し…あと少しで…!
意を決して目を瞑る。


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