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マッドな彼女with俺
【コメディ 恋愛小説】

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マッドな彼女with俺2-3

「いや、何でもないぞ。そう何でもない。
して、静谷よ。つかぬ事を聞くがコレは何だ?」

そう言って弁当の中から群青色の何かイガイガした物体を箸で摘み出す。

「ふふ、駿八ったら何言ってんのよ。
どう見たって卵焼きじゃない」

!?
卵焼き!?

あの美しい金色の、お弁当に入れれば華やかさが一層増すといわれている定番メニューの!?
その卵焼きなのか!?

「私あんまり料理やったことないからそんなに調味料とか入れてないのよ。
だからちょっと味付けが薄いかもしれないけど、そこはご愛嬌ってことで」

…これはご愛嬌で済ませるレベルをはるかに超えているぞ…

てか、ほとんど調味料入れずにコレ!?
どーやったらそうなるんだよ!!突然変異の類いか???

…いや、待てよ。
これは俺の知ってる卵焼きじゃなくて、俺の知らないタマゴヤキなのでは?同音異義語的な感じの。
そうであるならこんなかけ離れた物体っていうのもおかしくはないぞ。たぶん。

俺が知らないだけだもんな。おそらく。

………………
……………
…………
………
……
…う、うん。きっとそうだ。そうに違いない!
つーか、そう考えなければ食べられない!!!!

「あ、あははははー、いやぁー俺の勘違いだったよー。
そっかそっか…そっちのタマゴヤキかぁ」

「?
よく分かんないけど、早く食べなさい」

「お、おう」

…これは食べ物……これは食べ物……これは食べ物……だから食べられる…大丈夫…大丈夫…大丈夫…

「箸が震えてるわよ?どうかした?」

「気にするな。武者震いだ」

ええい、ままよ!!!

パクッ!
ムシャムシャ………………タラ〜…

「駿八。口から血が出てるけど、それあまり面白くないリアクションね。
そんなんじゃ芸人になれないわよ」

いや、これいろいろとリアルリアクションなんですけど………バタッ。

「あら、駿八?
…寝てるの?食事中に寝るのはお行儀が悪いわよ」

大丈夫だ。
これは食べ物じゃねぇからな。

だから…もう少し寝かしてく…れ…………


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