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LESSON
【ロリ 官能小説】

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lesson10-2

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少し離れた街でデートを楽しんだ後、7時前に家に着く。
俺の手にはぎっしり食材がつまったスーパーの買い物袋。春香は忙しい両親に代わってよくご飯を作るそうで、今日は春香が作ってくれることになったわけだ。バレンタインに手作りチョコを貰ったり、デートの時に簡単なお弁当を作ってきてくれたことはあったので、厳密に言えば初めての手料理ではないが、こうして作る過程まで見られるのは初めてだ。
「はいはい、ダーリンは座ってて!手伝わなくていいよ!」
「そっか。と言っても何か落ち着かないなぁ……。」
今までエスコートする側だったので、こうして主導権を渡して待つ、ということになかなか慣れないのだ。
しかし……恋人の料理を作る後ろ姿って……いいな。
今までテレビや本の中でしか見ることが無かったこのシチュエーション。それに乗せられていい、と勘違いしているのかもしれないが、いいものはいい。
ここに来る、と言った時点でこの計画は持ち上がっていたのだが、春香はやる気満々で、自前のエプロンまで持ち込んでいる。
鼻歌まじりに、料理をする姿は、その歌に合わせて踊るように左右に揺れていて何だか本当に楽しそうだ。
よく後ろからガバッと……というシーンがあるが、とても邪魔する気になれない。
料理を待つ時間はゆっくりと、幸せに流れていった。
ほどなくして、いい香りが部屋に立ち込め、俺の胃袋を刺激する。
「はい、出来たよ!春香特製ハンバーグ!」
満面の笑みを浮かべて春香が料理を運んでくる。
「おっ!うまそうだな。」
今日のメニューはハンバーグ、コンソメスープ、そしてコーンサラダ。
ハンバーグに描いてある大きなハートマークは嬉しいが照れくさく、そして若さと純粋さを感じずにはいられない。
「さ、召し上がれ☆」
「いただきま〜す……ん……おっ、うまい!」
「へへ……でしょ?先週一週間ずっとハンバーグ食べて研究したんだから!」
「そうなのか?」
「そうだよ〜。前から作れてたけど、タマネギの炒め方とかこね方とかでけっこう味変わるんだよ!」
「わざわざ俺のためにそこまで……ありがとな。」
春香はぶんぶんと首を振って、答える。
「好きな人のためだったら、これくらいするよ!むしろ好きでやってるんだから!」
「ありがとう……」
もう『正式に』付き合いだして三年、知り合ってからは五年半になると言うのに、こんなにまっすぐ想ってくれる。俺ももちろん春香のことを好きだ、愛している、と自信を持って言える。だけど、仕事も大切だし、ずっと春香のことを想う、てわけじゃない。
やっぱ、これってとても幸せなことだ。
くさい言い方になるけど、愛情が加味されて料理はますます美味しく、忘れられない味になった。
「ごちそうさま、本当美味しかったよ。」
「へへ、どういたしまして☆」
「じゃあ、料理のお礼……じゃないけど、これ。」
「え?」
きれいに包装された小箱に春香は目を丸くする。
「三年記念プレゼント。」
「えーっ!すごく嬉しい!!ね、ね、開けていい?」
手を胸に当てて感激する春香。
「もちろん。」
「なにかななにかな〜♪あっ……これ……指輪……」
「婚約約指輪。」
「??婚約を約束するってこと?」
「そう。それ婚約指輪にしてしまったら、本当にプロポーズした後に婚約指輪渡せないだろ?」
「ダーリン……ありがとう……ね、つけていい?」
そう言った春香の目からは、もう涙がこぼれそうだ。感動で泣かせたのは久しぶりな気がする……
「つけてやろっか?」
こくん、と春香は黙って頷いたその拍子に涙が一粒、スカートに落ちた。
「右手出して。」
出された右手をとって、薬指に指輪をはめる。
指輪をじっと見つめる春香の頭をそっと抱き寄せる。そのまま時は静かに流れた。
実は、去年の記念日はちょうど仕事が忙しくて、何も贈ることができなかった。
土日は返上、毎日家と社宅の往復。今思い返しても吐き気がする二ヶ月だ。
その分春香には随分寂しい想いをさせた……会いたい、寂しい、という気持ちを必死で抑えてもらった。あの時のことを話すと春香は決まってこう言う。


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