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わたぼうし
【家族 その他小説】

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わたぼうし-1

おかあちゃん

ほら こんなにたくさんとってきたよ

なあに 遠くまでいかずとも
そこらへんにたくさん生えてたよ

おかあちゃん 好きだもんね
わたぼうし


ここへ置いておくよ


おかあちゃん 憶えてるかな
ほら 俺がまだガキだった頃
わんわん泣いて帰ってきたことがあっただろ?

あんときゃ言えなかったけどさ

あいつ おかあちゃんの悪口言ったんだよ

そんでさ 気がついたら殴りかかってた

えっ 弱虫のおまえにしちゃ 上出来だって?

えへへ まあね

おかあちゃんのことが大好きだからね

えっ あいつがどんな悪口を言ったかって?


でべそ 


って言ったんだよ

ああ もうこんな時間か

俺 そろそろ行かなきゃ

また来るよ おかあちゃん

しばらくは またひとりぼっちになるけど
辛抱してくれよな

しかし この墓石もずいぶんと汚れちまったな

こんど来たときにさ ピッカピカにしてやるからな


あ もしかして

俺が好きだったのかな

わたぼうし


泣いてるとき いつも手に持ってた気がするよ

そうか そうだったのか

なんだよ そうだったのか

だからおかあちゃん 俺が泣くたびに裏山へ行ってたんだな

ありがとう おかあちゃん

おかあちゃん 

おかあちゃん

会いたいよ

寂しいよ

やっぱさ まだ弱虫だよ 俺


わたぼうし

一本もらっていくよ


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