彼の日常-1
ゴミで乱雑した部屋
そんな部屋の中に若い男がいた
虚ろな目は何を見ているのかわからない
彼は引きこもりであった
18歳で大学に通うために一人暮らしを始めた
だが何の目標も持たず大学に入った彼は、大学生活が合わず、大学を退学しそれから四年間も引きこもっている
毎日テレビを見たり、パソコンで色んなサイトを見たり、寝ていたり…とそんな繰り返しである
食料は大量に買い込んであるので、外に買いに行く必要はない
だからこの部屋からでる必要もない
世間でどのようなことが起こっても、この狭い彼だけの世界には関係のないことであった
彼自身、こんな風に生きている実感のない生活をするくらいなら死んだ方がましだと思っていた
何度か自殺をしようかとも考えた
だが、それを実行する勇気が彼にはなかった
何もすることがないのでテレビをつけてみる
ニュースだ
『昨夜、○○市内のアパートに強盗が入り、そこに住んでいた男性が殺害されました。犯人は今なお逃走中です。』
誰が殺されようが自分には関係ない
彼はテレビのスイッチを切った
「ここですか?二週間前に強盗が入ったアパートは。」
『あぁ、そこに住んでた22歳の男が殺されたよ。可哀想にな。』
外でこのような会話がなされていることを彼は知らない
そして、彼は死んだ後も今なお、彼だけの世界で死んだような日々を送っている