†魔法の飴玉†-3
「…ユウカちゃん、風邪ひくよ。」
そう言うと、いきなりチロが、自分のマフラーをかけてきた。
しかも最悪にブスなわたしの顔を当たり前みたいにハンカチで拭いて、てぶくろまで貸してくれた。
…あったかい。
あったかくてまた泣きそうになる。
「…これ、あげる。」
チロが手から丸いものを差し出した。
それは、わたしたちが昔から魔法のアメと言っているお砂糖が周りについた飴玉だった。
「…ユウカちゃんの好きなイチゴ味。」
また周りが見えなくなる。
チロは、何も言わないで私の手をつないだ。
そして、大きな魔法の飴玉を二人で舐めながら家まで歩いた。
いつもは頼りない史郎が、ちょっとだけかっこよくみえた。
終わり。