†魔法の飴玉†-2
《今日の帰り道、ゆういち君が他校の女の子と歩いてるの発見！まぢ気になるよね！写メあるよ↓↓↓》
メールにはゆう君と知らないコが手をつないで歩いてる写メがついていた。画像が粗いから顔はわかんないけど。
胸がズキズキした。
手の先がすーっと冷たくなった。
だけど驚き過ぎて涙は出ない。
何分くらいぼーっとしてたかはわからないけど、チロの事が急に頭に浮かんだ。
よくわかんないけど、気が付いたら薄着のまま家を飛び出してた。
そのままチロの家まで走った。
突然走ったから苦しい。
少し落ち着いてからインターホンを鳴らした。
「……はい。」
チロの声だ。
「……あの、私。ユウカだけど。今からちょっと出られる？」
インターホン越しに沈黙が流れる。
怒ってるのかもしれない。
「……いいよ。ちょっと待ってて。」
そう言うと、バタバタと音がして、それからチロが出てきた。
気が付くと外はいつの間にか暗くて寒い。
お互い無言のまま、家の近くの公園まで歩いた。
公園のベンチに座って、暫くお互い何も話さなかった。
いつもなら私からなんて絶対話してあげないけど、今日は私から話さないと悪い気がした。
「あのさ…今日、なんでうまく合図してくれなかったの？今までこんなこと1度もなかったし…。」
チロは何も言わずに下を見つめてる。
「……もしかして、これが原因？」
思いきって亜沙子からきた写メールをチロに差し出した。
チロの顔が一瞬驚いた表情になる。
「…そうなんだ。チロ、見たんだね。だから合図してくれなかったんだ…。」
チロの気持ちと、間接的にフラレた悲しさで視界がにじむ。
「………本当の事、言えなくてごめん。」
突然、チロがあやまってきた。
隣に座ってるチロを見ると、チロも泣きそうになっていた。
「な、なんであんたがあやまんのよ！あやまるのは、わたしなのに…」
言ってる途中でチロの顔がぐにゃりと曲がった。目の前が涙でぐちゃぐちゃになる。
薄着で飛び出したわたしは、涙と鼻水で最悪にブスに違いなかった。