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マッドな彼女with俺
【コメディ 恋愛小説】

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マッドな彼女with俺1-1

マッドな彼女with俺 1

どこまでも透き通った青い空。

ゆっくりと穏やかに流れる白い雲。

すべてを優しく包み込むような暖かい陽射し。

そして中庭でイチャつくバカップル共。


「はぁ…」

そんな窓の外を見ながらため息を吐く俺、真田駿八(さなだ しゅんや)。
『しゅんぱち』ではなく『しゅんや』だ。間違えないように。

「なに黄昏てんだよ駿八」

「そうだよ。そんな顔してたら幸せが逃げちゃうよ」

ここにもいたか、バカップルが。

「うるさい。俺はもともとこーゆー顔なんだよ」

…とりあえず説明しよう。

先に声かけてきた無駄に背の高い奴は谷崎稔(たにざき みのる)。
小学校のときからずっと同じクラスのいわゆる腐れ縁ってやつだ。
悔しいながら容姿端麗、頭脳明晰、スポーツ万能…と、モテる要素を独り占めしている。
ただ女癖は悪く、いろんな女にちょっかいを出すのが趣味みたいなもんで、最近はまだマシになったが、その女垂らしっぷりは健在だ。

あとから話しかけた背の小さい可愛娘ちゃんが山野蒼衣(やまの あおい)。
クラスのまとめ役でしっかりしていて、可愛いんだけど、どちらかというと頼もしいみたいな感じの娘だ。
なぜそうなったかは不明であるが、稔の野郎の彼女である。
もっと良い奴がいただろうに、どうして稔なんかと…。
まぁ、蒼衣ちゃんのおかげでアイツの女癖がマシになってんだけどな。

ちなみに状況説明すると、今は休み時間、ここは教室、俺はイチャつくバカップル共にため息である。

「どうせお前のことだ。
中庭でイチャつくカップルたちを見て、『あぁ…俺もあんな風にイチャつきてぇ!』なんて思ってんじゃないの?」

うぐっ。
流石は腐れ縁。
図星だ。

「うぅ…まぁ、それはそうだけど…」

「でも、駿八君には静谷さんがいるじゃない」


…『静谷』。


その言葉が出ただけで底知れぬ悪寒が俺の爪先から髪の毛の先まですべてを支配する。

「我が友、駿八よ。
そんな目で俺を見るな。俺にはどうすることもできんのだ」

悲しそうな目で手を上げ、降参のポーズをとる稔。
おい、口元が笑ってんぞテメェー。


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