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キライ
【学園物 恋愛小説】

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キライA-5

「ごめ…ん」 

思わず顔を上げた私の目に映った大迫の顔はいつもの意地悪っぽい様子が消え、その表情には私を本気で心配してくれている様子が窺えて一瞬心臓が跳ねた。

何、ドキッっとしてんのよ!
これは大迫なんだよ?!

自分に言い聞かせても心臓の音がうるさい。

私が口を開かずにいると大迫の顔が怪訝な表情に変わった。

「どした?」

その声はすごく優しくて、私はまた涙が溢れそうになった。

「どうしてここに?」

何か言わなくちゃと涙を拭って急いで口にした。

「えっ?あー、いつも見に来てるあいつらがいなくて、お前も来ないからもしかしてと思って探しにきたんだ」

そうだったんだ…。

「来てくれてありがとう…」

少し目を丸くした大迫は笑って頷いた。

「ホントにケガとかないか?」

まだ心配げに問う大迫に今度は私が笑って頷いた。

「ホントに大丈夫!大迫の顔を見て緊張の糸が切れただけ」

「そっか。でもさーお前でもあんな風に泣くんだな」

いつもの意地悪っぽい大迫の言葉に私は恥ずかしさで顔が真っ赤になった。

「忘れて!私はいつもあんなじゃないもん!」

大迫のTシャツの胸元をグイと引っ張り抗議すると、その手を掴まれた。

びっくりした私を見下ろす大迫が小さく呟いた。

「でも…間に合ってよかった…」

そんな顔すんの反則だよ…。

いつもは意地悪だし失礼だし口を開けば嫌味ばかり。

命令口調だし、自己中だし大迫の悪口ならいくらでも言えた。

なのにその大迫にすごくドキドキしてる…。

私……大迫を好きになった…かも…。


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