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キライ
【学園物 恋愛小説】

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キライA-4

「あんただって痛い目に合いたくないでしょ?」

それはもちろん。
だけど暴力で屈すると思ってるこの子達に怒りも感じた。

「反対に聞くけど、私が別れて、それであんた達の誰かが廉と付き合ったらその子も私みたいな目に合うの?」

私の言葉で一斉に顔を見合わす。

私は正面の子を見据えた。

「もしあんたが私の次に廉と付き合えば、今の私と同じ立場になるよ?その覚悟があるなら殴るなり蹴るなりすればいい」

私が一歩踏み出すと女の子達は一歩下がった。 

私が歩を進めるごとに包囲の輪は乱れていく。

もうすぐ輪を抜けられると思った時、走ってくる大迫の姿が見えて私は不覚にも涙が滲んだ。

「香奈!」

大迫は私に走り寄ると、その背中で私を庇った。 

「お前ら何やってんだよ!香奈に手出したんなら絶対許さない!」

大迫から本気の怒りのオーラみたいなのが感じられて、私は大迫のTシャツをぎゅっと握った。

「大丈夫だから…。何もされてないから…」

私の少し震えた声に振り向いた大迫は私を安心させるように少し微笑んだ。

「お前らに言っておく。俺は香奈と別れる気はない。香奈を傷つける事をした時は同じ目に合うと思え」

大迫の宣言に女の子達は散々に去っていった。

その姿が見えなくなった時、私は足の力が抜けてその場に座り込んでしまった。

「おい、大丈夫か?」

大迫はしゃがみこんで私の両肩を手のひらで包んだ。

私は大迫の前だというのも忘れてポロポロ涙を零した。


「うっ…怖かったよぉ…」

あの状況で何もなかったのが奇跡のように感じられた。

「ごめん……」

大迫はそう呟いて私をギュッと抱きしめた。

大迫の腕の中で安心した私は声を上げて泣いた。

その間、大迫はずっと私の頭を撫でたり背中をポンポン叩いたりとまるで子供をあやすように優しくしてくれた。





気持ちが落ち着いてくると、大迫にしがみついてる自分に気付いてどうしていいかわからない。

いきなり突き放す事も出来ず、かといってこのまま腕の中にいるのも……。

どうしよう……。

私の葛藤を見透かしたように大迫はそっと腕を解いた。

泣き腫らした顔を見せたくなくて俯いたままでいると大迫らしくない弱い声が上から落ちてきた。


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