キライA-2
あっ!
さっきのとおせんぼ女!
マネージャーだったんだ。
その子は私を睨むように一瞥した。
やれやれ。
こんな女の子がまだまだ出てくるのかな?
騙してるのは申し訳ないけど、これじゃ大迫にカノジョなんて出来ないよ。
ちょっとだけ、ほんのちょっとだけど大迫に同情するな。
とりあえず私がそんな子達を追い払えば大迫も好きな子といれるんだろうし、ここは私が大人になってあげよう。
それで貸し借りなしになるんだし。
考え事をしていると時間が経つのが早かった。
今日も女の子に囲まれている大迫は、その囲みを抜け出して私のそばに来た。
「着替えたら送るからもうちょい待ってな」
大迫らしからぬ発言に目をぱちくりさせた私を見て
「ここまで待たせといてほったらかしにするとでも思ってたのか?」
憮然とした表情で見下ろす。
正直、そう思ってたからコクリと頷いた。
「お前って失礼な奴だよな」
あんたほどじゃないわ。
校門で大迫を待っていると、坂東くんが通りかかった。
「今日も見に来てたな」
スポーツバッグを肩に担ぎ直す坂東くんに頷き笑った。
「坂東くんってシュート上手いよね。バンバン入ってた」
「俺の場合、身長が足りないから得点上げてレギュラーを保つしかないからなぁ」
ため息をつきながら言う坂東くんに曖昧に微笑む。
坂東くんっていつも明るいし気さくだけど悩みもあるんだな。
「香奈!」
名前を呼ばれた方に顔を向けると大迫がいた。
「お前ら付き合ってんだって?」
意外そうに坂東くんが言うのを聞いた大迫が
「まーな。坂東も気安く香奈に話しかけんな」
はぁ?
彼氏気取りですか?!
坂東くんは大迫の偉そうな物言いに慣れてるのか
「男の嫉妬は醜いねぇ」
と私を見て笑う。
「うるせーよ。行くぞ」
私は慌てて坂東くんに手を振ると大迫の後を追った。