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ルーツ
【女性向け 官能小説】

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ルーツ first-1

私は探していた。
ふさわしい男を。

彼に決めたのは 社会人一年生になった年の秋。
社内の慰安旅行で初めて出会ったその日。
普段は顔を合わすことのない別配属で
直属の上司ではないにしろ、一回り以上年上の妻帯者それが彼。

ずっと思い続けた人に捧げられなかった処女は
私にとって「たからもの」というよりも 関門だった。

なぜそんなに自分の「女」の部分に自信がなかったのだろうか。
私にも正確な根拠を述べる資料はない。
ただ ただ
本気で不安だった。

「女」になれるのだろうか
普通のことが普通にできるのだろうか
どこか変なのではないだろうか
好きな人が相手では嫌われるのではないかと恐かった。

ならば、「オマエ、ヘンダヨ」とたとえ言われても
ああそうでしたか。と冷静に受け入れられる
判定士のような男を・・・と。

妻帯者 絶好の判定士だと思った。
選ばれし彼は、他の同条件妻帯者軍からは異質でもあり
さらにふさわしい男に見えた。

さながら、スポーツ焼けした色黒で引き締まった体
眼鏡にはカラーレンズ
いかにもプレイボーイ気取りの匂いがした。

初対面の慰安旅行、貸切の列車の座席で
私は同期新入社員の女子たちと座っていた。
持込のアルコールや菓子が配られる。
彼は 激しく揺れていない車両でわざとらしく安定を崩し
私の膝に倒れてきた。

軽いジョークナンパのキッカケである。
新入社員の女の子たちがキャーキャーと悪ふざけを喜んでいる時
私は 決めた。と彼を意識して観察し始めた。
彼もそんな私の眼差しをキャッチしていたのだと思う。

宴会のあと それぞれが麻雀部屋や二次会カラオケ組みと消えていく。
なれない宴会に疲れた女子は女子用の大部屋へ。
私を含めて新入の女子2名と男子2名 そこに彼も交えて布団が4組ほど敷き詰めてある男部屋に入った。

トランプゲームの始まりだ。
一回りの年の差は、新入男子にさえ感じさせない雰囲気。
職場では上司として厳しいのかも知れないが、社内のスポーツイベントでも
ほとんど何でも来いのレギュラーというだけのこともあって
若い連中と混ざって遊ぶにも違和感がない。
そんな彼が一つの布団にもぐりこみ、腹ばいになってカードを配る。
私はゲームの参加はしない。
彼の隣の布団にもぐりこむ。かなり酔いがまわっていたのもあるかもしれない。
新入社員で初参加の旅行、男部屋で自分の布団でない布団に
平気でもぐりこんだ。

後の三人は彼の枕元に座り込み 向かい合わせになってゲームをしている。
何のゲームだろ・・・興味ない。
私に興味があったのは、初対面で隣の布団に寝ている彼だけだった。


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