愛を求めて-2
よじ登ってみても、
なかなか上手く登れなかったり
登れても終わりがなく
手足から血が出て登れなくなった。
少年は泣き叫んだ。
次々と涙が溢れ出る。
止まることを知らないかのように…
それでも、周りには誰もいなかったので
助けてくれる人も
支えてくれる人も
いない。
少年は神に言われ旅をしていたが
神は見ているだけで
何もしてくれることはなかった。
少年の服の裾は涙で濡れて
目は真っ赤であった。
それでもやはり、
少年を気に止める人は
この世界には誰一人としていなかった。
目的地に少年は
"愛を求めるために"
行こうとしていた。
少年を助け、支え、一緒に泣き、怒ってくれる人に会うために…
この道の途中には
誰もいないと分かっていた。
すれ違う人もいなかったから。
分かっていたけれど、悲しかった。
悲しさから逃げるために
元いた場所に戻ることも
可能である。
少なくともそこには
"人"と呼べる者はいたから…
少年を罵倒され、蔑まれ、奴隷として扱われ、殴られ、蹴られるが
まだ一人でないと思えた。
"今"は一人。
愛をくれる人に会うまでは…