知的好奇心にて-1
「みー…ミミズク」
「く、く…クマゼミ」
「また『み』かぁ〜」
日曜日なのに部屋でお茶を飲みながらしりとりをしている。
せっかくのデートだけど、笠井がのんびりしたいねーと言ったので、今日は俺の部屋でゆったりまったりしている。
今日は家族が遅くまで帰って来ない日なんだけど…
…うーん…期待してないと言ったら嘘になる、いや、かなり
のんびりしているはずなのに、俺の目はつい笠井の胸元や、彼女の指が癖で触れている唇に吸い寄せられてしまう
俺ばっかり好きなんじゃないかな…
晴れて両思いになったはずなのに、なんだかそんな雰囲気は全くない
彼女はいつも落ち着いているから、俺ばかり変な気を起こしているんじゃないかと不安になる
なんというか、笠井は隙がない
あんな始まり方をしたのに、彼女を知ったのは数回しかない
俺はいつでも抱きしめたい、触れたいと思ってるのに…
***
「あ、ミンミンゼミ。『み』だよー」
こうして過ごしているのは悪くない、けど…
…私が言った「のんびり」には、そういう意味も含めてたんだけどな…
でも、真面目にしりとりをしてくれる齋藤を見てると、私が遊んでもらってる子供みたいで、それ以上要求しづらいな…。
…齋藤は私が触れてほしいと言えば望み通りしてくれると思う
齋藤はいつも優しくて、この前私に触れたときも、紳士的だった
そんな齋藤は素敵だけど…
…少し不満。
私だってもっと感じさせたいし、なんて言うかもっと…乱れてほしい
…それで…
…つい調子に乗ってしまった…
私はポケットにそっと手を入れる
手に触れたものをきゅっと握った――――