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ポッキーとプリッツ
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ポッキーとプリッツ-4

「来月クリスマスだねぇ」
「また祝うのか」
「あたし慎吾君に何あげるかもう決まってるんだ」
「へぇ?何」
「日めくりカレンダー」
「…ふぅん」
「でね、渡す前にあたしが記念日を全部書き込んであげる」
「げ」
「そしたら慎吾君忘れないでしょ?」
「いらん」
「で、それを毎年恒例にするんだ」

やりかねん。
俺は来年日めくりをめくる度にイライラしなくちゃいけないのか。
…やな年になりそうだ。

「いつか365枚に記念日予定が書けるといいね」
「バカか」
「なぁに?いらないの?」
「いらない」
「じゃあ手帳にしよっかなぁ」
「手帳?」
「向こう三年書き込めるやつ」
「あー俺丁度カレンダー欲しかったんだよなー」
「あ、やっぱり!?じゃあ後で探しに行こうよ」
「はいはい」

来年一年の、恐らく日課にされるであろうまだ見ぬ日めくりの存在に恐怖を覚える俺。
対照的につぐみはそんな毎日が来る事にワクワクしてる様子。早々とケーキを食べ終えて、嬉しそうにポッキーを一本くわえている。


ほんと、めんどくせー分かりやすい女。
結局今日も言いたい事が言えず終いだ。



それから二人で買い物に出かけた。
外の空気が冷たくて、手をつなぐには丁度良い季節になってきた。


「ほんと、慎吾君って薄情なんだから」
「なんでだよ」
「あたしとの思い出を忘れるからでしょ」
「違うって、俺はー…」
「俺は、何?」
「…いいや、もう」
「ふぅん」

口を尖らせるつぐみを見て、フン、と鼻で笑った。

俺はただ、思い出よりもこれからを大事にしたいだけだよ。
…なんて言ったら、今日は"ポッキー&プリッツの日"で"俺達の日"以外に、"慎吾君が甘いセリフを吐いた日"なんてのが新たに制定されそうだ。

鞄に入れられた食べかけのポッキーとプリッツを交互にくわえるつむぎの手を強く握り直した。

それもいいのかな、なんて思いながら。


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