ポッキーとプリッツ〜ある二人〜-2
出会いは、俺が無理矢理彼女のお菓子と自分のを交換したところから始まった。
今思い出すとあまりの強引な理由に苦笑と恥ずかしさがこみあげてくるが、当時の俺はそれがとても自然な話しかけかただと思っていた。
それぐらいに彼女が好きだった。
彼女はやっぱり今と変わらないような悪戯っぽい笑みを浮かべ、三倍返しと言いながら俺のお菓子を取っていった。
その顔を見ると、なんだかもう全てが見透かされているような気がして。お互いに笑ってしまったのを覚えている。
そんな感じで、気が付けば付き合っていた。
ふと考える。
この庶民のお菓子たちが無かったら、俺達は付き合わなかったのだろうか。
答えは分からない。
だが、俺達が付き合うきっかけになったのは確かだ。
「……安っぽい運命だな」
そういいながらテーブルに並べられた二つの箱を見比べていると、目の前に大きな鍋が置かれた。
「何考えてたの?」
彼女の問いに答えようと思ったが、止めた。
「将来、子供が出来て。俺達みたいな付き合い方とかしたら面白いなぁってさ。考えてた」
「その時は聞かせてあげようよ。私達の馴れ初めを」
二人で食卓を囲みながら、どちらからでもなく笑い始めた。
安っぽくたっていい。だって今はこんなに幸せなんだから。
二つのお菓子を重ねて、俺達は鍋に手をつけた。