夏の終わりにB-7
「ヨシッ!出来た」
篠原が作ってくれたのはハンバーグ・カレーと野菜サラダだった。
「いっぱい作ったから…」
8時過ぎ、部屋のテーブルで夕食となった。私はひと口食べた。
「ウマイ!」
ウチのカレーより辛かったが美味しかった。我を忘れてスプーンを口に運んでいると、
「…よかった…私、自信なかったから…」
目を細めて私を見つめていた。
「カレーもハンバーグも、とっても美味しいです!」
私は美味しさから2回おかわりをすると、篠原は少し呆れ顔をする。
「…そんなに食べて、大丈夫?」
「全然平気です。いつも、この位は食べますから」
「やっぱり男の子は違うわね…」
結局、大量に作ったカレーはわずかに残るだけとなった。
ひと息ついての後片づけ。篠原が食器を洗うそばで、私はすすぎを受け持った。
「…家事を手伝うなんか初めてで…なんだか…不思議な感覚ですね…」
思ったことを口にしたつもりだったが、となりで洗い物に勤む篠原は、
「不思議って、どんな風に…?」
「どんなって…そんなの言えませんよ」
私は顔が熱くなるのを感じた。
「何、顔を赤くして。どんな感じなのか言いなさいよ」
「…その…先生と恋人同士みたいな…」
その途端、篠原は頬を赤らめる。
「…バカね」
「すいません…」
それ以降、篠原は黙ってしまった。私は彼女の気分を害したのかと気まずくなった。
「ショウ君、お風呂沸いたから先に入って」
促されるまま、私は風呂場にむかった。脱衣所で服を脱ぎ、ガラス扉を開く。小じんまりとした湯船と洗い場。私は中に入ると身体を洗い、湯船に浸かった。
その時だ、脱衣所から篠原の声が聞こえた。
「…ショウ君、あのさ…」
私は、その声に緊張した。彼女が扉を開けて入ってくるかもと思った。
「なんです?」
平静を装いながらペ〇スが熱くなる。一気に喉の渇きを覚えた。
「着てた服は洗っちゃうから。私のお古だけど、替えを置いとくから」
「ああ…はい…」
篠原はそのまま脱衣所を後にした。私は何か拍子抜けしたような気分になった。