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キライ
【学園物 恋愛小説】

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キライ @-1

私には嫌いな奴がいる。

大迫 廉(おおさこ れん)。

高2になって、初めて同じクラスになったこの男。

面識もなかったのに、初めてかけられた言葉が

「ちょっとそこ退いてくんない。ちんちくりん」

確かにドア近くでお喋りしてて塞いでたかもしれない。
でも普通、初対面の女の子に『ちんちくりん』なんて言う?!

何て失礼な奴!

この時から大迫廉は私の中の大嫌いリストに名を連ねる事になった。





「大迫ってカッコいいよねー」

はぁ?どこが?

もろに不満が顔に出たのか、私の顔を見て涼子が慌てて口を閉じる。

「私の前で大迫の話はしないでよ」

大迫って名前を口にするのも気分悪いっ!

不機嫌全開な私に、涼子は上目遣いで恐る恐る口を開く。

「香奈ってばまだ根に持ってんの?」

私がちんちくりん呼ばわりされた時に涼子もその場にいた。

「涼子はちんちくりんって言われてないから、呑気にカッコいいなんて言ってられんのよ。いくら顔がよくても性格悪きゃ…」

私がまくし立ててると涼子が唇に指を当てて、黙れの合図をする。

何なの?と思ったとたん後頭部から小気味いい音と鋭い痛みがした。

「痛っ!」

後頭部を押さえ体ごと後ろに向くと、丸めたプリントの束を手に目を細めて私を見下ろしている大迫がいた。

「何でかい声で人の悪口言ってんだよ」

「だからって叩く事ないでしょ!」

あぁっ!
顔見るだけでムカつく!

「ちんちくりんに性格悪いなんて言われる覚えはねーよ」

また、ちんちくりんって言ったー!

確かに私は背が小さい。

自分がでかいからって偉そうにっ!

「私だって性格悪男にちんちくりんなんて言われる覚えないもん!」

私と大迫の睨み合いに涼子はオロオロするばかり。

「口の減らない奴だな」

どっちが?!

私は勢いよく顔を背けて、大迫と話したくない事を全身で表現した。


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