冬の観覧車 第二話-1
それでも。僕とサクラと隆二は仲良しだった。
僕は僕で、サクラが大好きなままだった。何も変わらなかった。
ただ、サクラは僕とも隆二とも寝ているという事実を知っただけだった。
よく分からないな、と僕は思う。もう好きじゃなくなってしまえば、随分と楽なのに。
でも、結局僕はサクラが大好きなまま、その理由はよく分からないから、
僕はもう考えるのを諦めた。
サクラの好きなところなら、いくつだって並べられる。
サクラを嫌いになれる理由なんて、何もなかった。
僕はサクラとその後もセックスを続け、隆二もサクラとセックスを続けた。
僕と隆二は、お互いにサクラと寝ていることを知っていたが、その話は意図的に避けていた。
話すべきことも特になかった。
一度、隆二はサクラのことが好きなのかどうか、それを聞いてみようと思ったことがあった。
でも、結局それはやめてしまった。聞くまでもなく、隆二もサクラに思いを寄せていた。
それは、隆二が時折僕に向ける表情から見て取れた。
勿論、サクラが冗談で言ったように、三人でセックスをするなんて事は一度としてなかった。
隆二とサクラがセックスしているところなんて見たくはないし。本当なら、そんな想像さえもしたくない。
それでも。僕たち三人は相変わらず仲良しで、ほとんど毎日、いつだって一緒にいた。
サクラが、どちらかに抱かれているとき以外は。
僕は長い上り坂を登っている。
曲がりくねっているせいで、一体いつまで上り坂が続くのかも分からない。
街では溶けかかっていた雪も、山ではまだまだ健在だ。
アスファルトは雪と氷で覆われていて、その上を歩くと、さくさくと音が鳴る。
まるで世界の果てのような、とても静かな場所だと僕は思う。
そんなところに、僕は一人ぼっち。時間は無限にあるように思える。
空がずいぶん高くに見える。風に揺れる草木が、僕を導いているようにも思える。
無意味な想像が脳内を埋めていく。それは、一種の現実逃避。
世界の果てまで行ったとしても、罪は僕を捕らえたまま。
ある一つの思考があり、そして、そこからまた枝分かれする思考。
例えばアンモナイトについて思い巡らせ、それはいつしか大西洋やバレンツ海へ。
バレンツ海の海底に住む無脊椎動物へ。そしていつしか地球誕生へ。