螺旋の邂逅 vol.3-2
「ミキ兄か基兄が行くなら考える。(ナンパされずに済むから)」
私は妹の言葉に苦笑をした。
「ミキちゃんか基くんねぇ…、ミキちゃんは今日、部活だし…基くん?
基くん起きてる?」
「まだ。」
「じゃ、起きたら聞いてみようか。」
そう言って私は朝ご飯を食べはじめた。
私は、休日は人の多い所へ行き、ラティを探すことが多かった。
しかし、そう簡単には見つからない…。
その日も見つからずに終った。
次の日 朝
「静華、オメデト」
学校へ行くと、校門の所で幼馴染みの梨瑚[リコ]が待っていて、私に言った。
「おはよう、梨瑚。
…で、『オメデト』って何が?」
と、私が返すと彼女は
「5連覇」
と、あっさりと言った。
「したの?」
「掲示板見に行く?」
悪戯っぽく笑いながら彼女は続けた。
「うーん…あとで・・ね」
と、私が溜息混じりの声で言うと、彼女はポニーテールを揺らし、私の横を歩きながら
「まーた、静華ファンが増えるわね。」
と、言って再び笑った。
「そんな事ないと思うけど…。
…あ、お昼にミキの所行きたくないなぁ…。」
と、呟くと、
「なんで?」
と、笑いながら返された。
「ミキ、お弁当忘れてったから、届けるようにお母さんに言われて…。」
「おばさん、今、帰ってきてるの?」
「うん。でも、明日の午後の便でアメリカだって。」
「おじさんは?」
「今、中国。明後日帰国。
今、不景気だから2人とも働きまくり…。」
私の言葉に
「大変だね。」
と、彼女は苦笑した。
因みに、父:飛行機操縦士・母:客室乗務員でほとんど家に居ない。
昼休み 1-B前
前方の入り口から顔を覗かせ
「ミキヤ!」
と、呼ぶと
「何?静華サン」
と、言いながら彼は教室から出てきた。
「忘れもの」
と、言って弁当を渡すと、
「ありがと、静華サン」
と、言って笑ったあと、私の横に目を移し、
「梨瑚先輩も」
と、言った。
「久しぶり、ミキヤ君。
今日は朝練でもあったの?」
と、梨瑚が笑顔で尋ねた。
「大当たり。
寝坊したから弁当忘れちゃって…。」
と、答えて彼は苦笑した。
「あ、静華サン5連覇おめでとう。
…もう少し話したいケド、視線痛いから、俺もう戻るね。」
「うん」
「またね、ミキヤ君」
私に好奇の目を向けられるのは今更としか言い様のないコトだったし、私はもう諦めていた。ストーカーとかは流石になかったけど…。