白日夢(はくじつむ)・一 第一章:みいちゃん-5
正面から見るとさ程の大きさに感じないが、着痩せするタイプなのかもしれない。
ダフダブのズボンのせいもあり、足については判別が付かない。
しかし、細くスラリとしているだろう。
俺の好みとしては、ぽっちゃり型なのだが。
しかし、楽しみではある。
そんな妄想にかられている俺に、
「こらァ、ジロジロ見るなァ。」
と、俺の隣に座ってきた。
「ねぇねぇ、おじさんって何人(なにじん)?」
そんな娘の質問に、俺は何と答えて良いのかわからず
「うん?」
と、問い返した。
「職業を聞いてるのォ。」
口を尖らせて、娘が催促した。
*尖らせて=とがらせて
「職業かぁ?まぁ、自由業だなぁ。エロ小説を書いているんだょ。」
「えぇっ!そんな風に見えないョォ。会社の社長さんに見えたのにィィ。」
心底驚いたらしく、目をカッと見開いて俺をまじまじと見つめてきた。
暫くの沈黙の後に
「ウソだァ。だってェ、ひげがないジャン!」
と、ケタケタと笑い始めた。
俺にはエロ小説と髭が、どう結びつくのか理解できなかった。
まぁ確かに、スケベ顔でないことは確かなのだが。
クラブのホステスにも、
“嘘つき!”と、言われはするが。
*髭=ひげ
浴槽にお湯がたっぷりとなった頃、ピザが届いた。
待ってました、とばかりに娘はパクついた。
その食べっぷりは、まったく見事なものだった。
余程に空腹だったのだろう、あっという間に食べ終えた。
更に、俺のピザまで食べ尽くしてしまった。
冷蔵庫から取りだしたビールを飲んでいた俺は、唖然とした。
俺の飲みかけのコップを奪い取るようにして、半分程のビールを一気に飲み干した。
まるでジュースでも飲むようにだ。
「あぁ、おいしかったァ。」
満足げにお腹をさすりながら、意識してかどうかは判然としないが、トレーナーの裾をめくり上げて風を顔に送り始めた。
トレーナーの下から現れた可愛らしいおへそに、俺の視線が釘付けになった。
「あわてない、あわてないィ。ククク・・。」
まったく面白い娘だ。
親子ほどの年の差があるにも関わらず、相変わらず娘に主導権を握られている。
”まっ、いいさ。
今の内だけだ。”
と、俺は心の中で舌なめずりをした。